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スティーブン・キングは、文学史上、最も著名なアメリカ人ホラー作家の1人です。ミニシリーズでのTV放送から約30年、キングの小説『IT』を劇場の大スクリーンに掲げるには、映像とサウンドのベテラン・スタッフが必要でした。ポストプロダクション・チームは、編集にはMedia Composer、サウンドミキシングにはPro Tools | HDPro Tools | S6 コンソール、およびAvid共有ストレージを含む制作ツールとワークフロー・ソリューションを活用して、ホラーに命を吹き込みました。少年時代の戦いと背筋が凍る恐怖を描いた本作は、大ヒットを記録しています。

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どんな映画でも、映像とサウンドの間には、適切なバランスと相互作用が求められます。しかし、予測や感情的反応を喚起するために音楽やサウンドを用いるホラー映画ほど、それが重要な要素であることが明白なジャンルはないでしょう。エディターのJason Ballantineは次のように説明します。「最大の課題は、音色のバランスを維持することでした。映画は、ぞっとする場面もあれば笑いもあり、サスペンスと同時に繊細さに満ちています。」

適切なバランスを探す

Jasonにとって編集スタイルの方針は、映画そのものから始まります。「演技、構成の妥当性、ストーリーの流れから最高のものを創り出すために、自分の元にくるものを全て見て、聴きます。シーン、そして映画全体に必要な情緒的なものを感じる必要があるのです」と彼は言います。Jasonは、そのプロセスを「操作とコラボレーションによるストーリーテリングの完璧な融合」であると総括します。

最大の課題は、音色のバランスを維持することでした。映画は、ぞっとすると場面もあれば笑いもあり、サスペンスと同時に繊細さに満ちています。

JASON BALLANTINE、エディター

このストーリーテリングにおいて彼は、Media Composerを使用しました。業界標準であることはもちろん、信頼性およびAvid共有ストレージ・ソリューションと簡単に統合できることからも、それは当然の選択でした。4台のMedia Composerワークステーションが、トロントから撮影現場であるロサンゼルスのポストプロダクションに移されました。

ワークフローの容易さ

ワークフローの効率性を最大化するようセットアップされた編集室は、映像編集の要求を容易にするだけでなく、音楽エディター、VFXエディターおよびアシスタント・エディターに創作的サポートを提供しました。多くの要素は、Media Composerに送られて、その強力な機能が、Andy Muschietti監督のイメージの映像化をサポートしました。

素材を見る、選択する、並べ替える、練り上げる等、継続的に評価する長いプロセス全体を通じて、『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』のプロセスは、全体として労働集約型の試みでした。

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彼は、ストーリーテリングをサポートし、編集プロセスを効率化する特筆すべき機能について次のように話します。「ビンのFrame View、グループクリップをカットしてタイムラインでカメラアングルを変更できる能力を活用しています。キーボードやGUIを好きなようにマッピングできるのも良いですね。」

シームレスなコラボレーション

Avidソリューションは、映画のサウンドワークフローにも使用されて、ビルトインの利点が活かされました。完成の様々な段階にある映画のセクションにチームが直面した時、または複数の観客試写により迅速な改善が求められる場合には、シーンを容易に転送できる能力が、極めて重要でした。

リレコーディング・ミキサーのMichael Kellerは、ワークフローの同期が個々の要素や映画全体に与えた影響について次のように話しました。「明らかに、業界全体がPro Toolsを使っています。シームレスな連携を必要とする編集、映像、アドミニ、オペレーション、ミキサー間でのPro Toolsの互換性は、絶対に欠かせないものです。」

テンポラリのダブ(最初の試写用に作成されるセリフ、音楽、音響効果の予備ミックス)がファイナルの基礎になるような状況を作り出す厳しいスケジュールにチームが直面する場合にも、この相乗効果は重要な役割を果たします。「スケジュールがとてもタイトだったので、Pro Toolsのテンポラリ・ダブのオートメーションをファイナルまで使いたいと考えました。通常は、作ったテンポラリ・ダブを廃棄して、ファイナルを最初から作ります。俳優やキャラクターが中心となるこのタイプの映画では、Pro Tools | S6とPro Toolsでテンポラリ・ダブをバーチャルで行ったら、次はそれから作るのが理にかなっています」とMichaelは説明します。

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恐怖とタイミング

MichaelとJasonにとって、これは分析と修正のプロセスの繰り返しです。プロジェクション・スクリーンを通して、主役であるルーザーズ・クラブの子ども達は、映画の悪役ペニーワイズに会ってしまいます。子ども達がクリップを見ると、ペニーワイズがゆっくりと姿を現していく場面は身がすくみます。観客を惹きつけ続けるには、全ての瞬間を完璧に計ることが不可欠です。「効果を出すために、恐らく最も苦労して試行錯誤を繰り返したのが、このシーンです。映像と音声に対する観客のストレートな反応をみることほど満足感を得ることは、他にありません」とJasonは加えます。

一方で、期待通りに出来ない場合もあります。「私たちの手元に来て、音楽、エフェクト、セリフをまとめる場合、例えば、アンビエンス・ノイズが多すぎたり、少なすぎたりして、思うようにできないことがあります。何かが飛び出してくることを予示しないよう、現実性を保つ絶妙なバランスを探します。あるセクションでは、最大のインパクトを作り出すために、音楽を抜いてみました。」

Dolby Atmos® ネイティブ・ミキシング

Pro Toolsの進化する特質は、Michaelに拡大し続けるメリットをもたらします。「最近のプラグインとPro Toolsができることには、目覚ましいものがあります」と彼は言います。そして今回、Pro Tools |HD 12.8でDolby Atomosのネイティブ・ミキシングが可能になりました。「Pro Tools | HD12.8は、フィニッシングに取組んでいる時に発表されました。新バージョンのリリースは間に合い、試すことが出来ました。非常に良かったです。ミキシングの立場からは、Pro ToolsでDolby Atmosをネイティブで実行できて、文句なしに最高です。」

Pro Tools | HD 12.8は、フィニッシングに取組んでいる時に発表されました。新バージョンのリリースは間に合い、試すことが出来ました。非常に良かったです。ミキシングの立場からは、Pro ToolsでDolby Atmosをネイティブで実行できて、文句なしに最高です。

MICHAEL KELLER, RE-RECORDING MIXER

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制作の未来について展望を尋ねると、彼はシンプルに応えました。「より多くの素材と、さらに厳しいスケジュール。最大の課題は、常に時間です。映画が後ろのポストプロダクションへさらにずれこみ、公開日に近づくにつれて、私たちに与えられる時間はどんどん短くなります。」

FI