

報道支援システムとの連携
Avid JNEWS
日本ではMedia Composerは「制作用のNLE」として広く認知されています。もしかしたら、「Media Composerは番組や映画制作用のツールであり、報道制作には向いていない」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、どうやらその認識は日本特有のようです。アメリカではMedia Composerは「優秀なNLE」であり、その分野が制作か報道かは関係ありません。事実、アメリカではMedia Composerはスタンダードな報道用の編集システムとしても認識され、日々の業務に使われています。
実際、「早く確実に」編集できるMedia Composerの編集機能は、報道の現場にも最適と言えるかもしれません。
しかし、報道の現場では編集機自体の機能だけがすべてではありません。取材内容やその映像素材、放送内容までを適切に計画・管理し、さらに保管された貴重な映像ライブラリも管理する役割を持つ報道支援システムは、状況によって様々に変化する複雑なフローの中、視聴者にできる限りリアルタイムな情報を届けるために、必要不可欠な存在になっています。そして、報道制作に関わる以上、編集システムもそのフローと連携を取らなければなりません。
「Avid JNEWS」は、メディア共有サーバー「Avid NEXIS」とアセットマネージメントシステム「MediaCentral | Production Management」、そしてクライアントとしての編集システム「Media Composer」といった通常の制作システムの上位系として株式会社ニシコンの報道支援システム「Japrs」が存在するとき、JaprsとMediaCentralとの橋渡しを行います。具体的にはJaprs―MediaCentral間でメタデータを連携し、双方向でリアルタイムにデータの同期を行います。
2015年、最初のバージョンのリリース当初から、そのデータ互換性の高さは注目を集めていましたが、最新バージョンではさらに多くの機能が追加されています。
「取材予定」から始まるフロー
Japrsで取材予定が作成されると、Japrsはその項目に対して自動的にIDを割り当てます。取材班が撮影してきた映像素材は、このIDと紐付いた形で取り込まれ、管理される必要があります。JNEWSはJaprsで作成された取材予定とIDを自動的に認識し、JNEWSの基本機能であるインジェスターで映像素材を取り込むときに、IDと紐付けた形で取り込むことができます。このとき、Japrsであらかじめ作成されているメタデータ(記者名、取材場所等の情報)は、取り込まれる素材のメタデータとして自動的に付加されます。また、この時点でJNEWSから新しくデータ(特記事項、コメント等)を追記することも可能です。JNEWSで新しくデータが追加された場合、それは自動的にJaprsに送られ、同期します。映像素材として使用する素材は、ProDiskやSxS等のカメラメディアからだけで はなく、回線から収録されたものや、支局/系列局からのファイル、スマートフォン素材等でも構いません。
インジェスト画面
メタデータ確認・追記用ウインドウ
OA項目からプロジェクトを自動生成
JaprsでOA(オンエア)項目が決まったら、インジェスターで取り込んだ素材を元にMedia Composerで編集を開始することになりますが、このとき、JNEWSはJaprsで設定されたOA項目のIDを元にMedia Composer用のプロジェクトを自動的に作成します。さらに、エディターはJNEWSに表示されたOA項目をクリックすることでMedia Composerを起動できるので、プロジェクト選択画面を開き直すことなく、JNEWSで指定したOA項目のプロジェクトを直接開くことができます。
Media Composer起動画面
プロジェクトを開いたら、自動作成されたプロジェクトのビンに対して取り込んだ素材をドラッグ&ドロップしますが、このときJNEWSは、メタデータとしてOA項目のIDがつけられた空のシーケンスと冒頭のクレジットも自動作成します。
JNEWSで用意された素材とシークエンスを読み込んだMedia Composer
「かんたんビン」で手早く効果的なエフェクト
JNEWSから一連の素材をプロジェクトに持ち込んだ後は、用意されたシークエンスに通常通りの編集を行います。このとき、よく使う効果やエフェクトはMedia Composerのビンにプリセットとして集めておき、「お気に入り」として登録しておくと便利でしょう。こうすることで、必要な効果をドラッグ&ドロップするだけで適用することができますし、新しいプロジェクトが作成されたときも自動的にそのプロジェクト内に追加されるので、ビンを開き直す必要がありません。
エフェクトプリセットを集めたビン
出来上がった作品はそのまま送出サーバーに転送することができます。コマンドメニューから転送を実行することで、レンダリングの必要があるエフェクトはレンダリング、設定されたコーデックに一本化、サーバーに転送という一連の作業をMedia Composerが自動的に行います。
より安全に、より確実に
報道制作の現場において最も大切なのは、ともすれば被写体の権利を侵害しかねないデリケートな素材の取り扱いです。MediaCentral | Cloud UXには「Restriction(制限)」という機能があります。著作権や肖像権、使用権などの権利関係に関わるような重要なシーンにCloud UXからRestrictionを付けることによって、Media Composerでこの素材を使用するとき、画面にメッセージをポップアップさせてエディターに注意を促す機能です。JNEWSでは、この機能もJaprsと同期できます。
この情報は、たとえ送出サーバーに転送するために一本化された後でも維持されます。一本化されたには、編集点が存在した場所に素材名がコメントとしてつけられたマーカーが自動的に付加されます。Restrictionの情報も映像範囲とともに維持されるので、将来的にこの一本化された映像をリトリーブして再利用するときにも大切な情報を失わず、安全かつ確実に再利用することができます。
リトリーブ画面
リトリーブされた素材とマーカーコメント
1分1秒を争う報道制作の現場では、速さと確実さを兼ね備えた効率性の高いワークフローが大切です。MediaCentralとJaprsとの高レベルの連携を可能にするJNEWSで、効率的かつ確実な報道制作環境をご体感ください。