

サブスコアと新しい小節線の紹介、macOS Venturaサポート
Sibeliusの12月リリースをお届けできることを大変嬉しく思います。このアップデートは、サブスクリプションまたは Sibelius永続版ライセンスのソフトウェアのアップデート、サポートプランの一部として含まれています。アップデートを入手するには、コンピューターをお使いの方は、Avid アカウントにアクセスしてインストーラーをダウンロードしてください。iOSをお使いの方は、AppleのApp Storeからアップデートを入手できます。
Sibeliusを初めてお使いになる方は、30日間の無料体験版をダウンロードするか、Sibelius Firstでの Windows、Mac、iOS に対応した無料アプリで、スコアを作成することができます(最大4つの譜表)。
今回のアップデートでは、スコア上でサブスコアを管理する新しい機能と、いくつかの新しい小節線やその他の機能、そして最新バージョンのmacOS Venturaサポートが追加されました。
サブスコア
Sibeliusでは、その名の通り、譜表のサブグループからなる「サブスコア」を作成できるようになりました。作成方法は、フルスコアで任意の譜表を選択し、パート > 新規サブスコアを選択するだけです。
また、デスクトップでもモバイルでも、コマンド検索で「新規サブスコアを作成」(または単に「サブスコア」)と検索すれば、サブスコアを作成することができます。
Sibeliusでは、サブスコアはダイナミックパート譜ではなく、スコアとして扱われます。音符、テキスト、ライン、シンボルは、フルスコアと各サブスコア間で動的にリンクされているため、一方を変更すると他方にも反映されます。オブジェクトの位置の調整やアイテムの表示/非表示ができるダイナミック・パートとは異なり、サブスコアはフルスコアのサブとなるため、ダイナミックパート譜では同じ上書きは行われません。
しかし、サブスコアにいくつかの違いを持たせることで、必要に応じてスコアをレイアウトすることができます。各サブスコアには、独自のページサイズと譜表サイズ、およびページと譜表の余白を設定できます。ドキュメント・セットアップ・ダイアログ(WindowsではCtrl + D、MacではCmd + D)を開いて、サブスコア内でこれらの設定を行います。「譜表にフォーカス」を単独で使用することもでき([レイアウト] > [Staff Visibility(譜表の表示)])、フルスコアと同じようにサブスコアで作業することができます。
サブスコアは素早く作成できます。最近リリースされた「パート譜を作成」機能と同様、「Score Subsets 1」という名前がついたサブスコアを瞬時に作成します。サブスコアの名前を変更するには、ファイル > 情報 で、「パート名」を適切なものに設定します。例として、木管楽器のセクション・リハーサルのためのサブスコアを作成しました。
モバイルデバイスとデスクトップの両方で、音楽の最初のページの右上の隅にある非表示の名前を編集できます。
フルスコアとサブスコアを切り替えるには、ドキュメントのタブバーの右端、リボンの下にある「+」メニューからアクセスできます。
モバイルデバイスでは、サブスコアを見つける方法は2つあります。詳細メニュー「…印」に移動して [スコア/パーツ] を選択するか、パート譜に移動する際と同じように、スコア名を長押しして、左右にスライドすることでサブスコア譜に移動できます。
一般的な使用例
サブスコアには、より効率的に作業を可能にするための使用例がいくつかあり、この機能を拡張することで、さらに多くの使用例が今後追加される予定です。スコア上で何かを上書きする必要がある場合はパートを使い、そうでない場合はサブスコアを使うということに注意してください。
スケッチ/スクラッチ譜表 - ファイル > 開く、またはファイル > インポートでMIDIファイルをインポートする際に非常によく使われる機能です。オーケストレーション中に入力されたパート譜を分割したり組み合わせたりする場合、フルスコアのすべてのオリジナル譜表を保持しながら、指揮者のスコア用の楽器を含むサブスコアも保持することができるようになりました。そうすれば、いつでも元の資料を参照することができます。そうすれば、いつでも元のスコアを参照することができ、もう譜表を削除する必要はありません。
1つの譜面用紙テンプレートですべてをカバー – サブスコアを譜面用紙としてに保存することもできるので、新しいスコアを作成するときにすぐに使えるようになります。サブスコアを一度に作成できるので、考えられるすべての楽器、グループ、括弧、譜表名を設定した譜面用紙を作成し、必要なときにこれらの譜表を指揮者用のスコアに取り込むこともできます。
その場でリハーサルと指導が可能に - バンドリーダーとして、ブラスパートのみを呼び出してリハーサルできたら素敵だと思いませんか?数回タップするだけで、それが可能になります。Sibelius for mobileでは特に便利で、選択してから必要なサブスコアに切り替えるだけです。また、選択部分は表示したままなので、今の場所を見失うことがありません。リハーサルのどの瞬間にも、セクション別サブスコアをすぐに使えるようにしておきましょう。
ピアノリハーサル譜 - すべての演奏譜を含む新しいサブスコアを設定し、ピアノリハーサル譜はサブスコアまたはダイナミックパートのいずれかにのみ表示することができます(ニーズによって異なります)。
Sibeliusにサブスコアを導入したSibeliusエンジニアリング・チームに賛辞を贈ります。Sibeliusは、どんな規模のスコア、複数のサブスコアを使っても使わなくても、同じように高速に動作するようになりました。
サブスコアの管理(デスクトップのみ)
サブスコアはいくつでも作成できます。これらの管理はダイナミックパート譜を管理するのと同じくらい簡単です。サブスコアに含まれる譜表を選択するには、パート > パートとサブスコア > 含まれる譜表を選択するだけです。これにより、サブスコアに含むことができる譜表のリストが表示され、必要に応じて譜表を追加または削除することができます。リボン上の同じセクションで、サブスコアを完全に削除することもできます。
印刷
サブスコアの印刷もサポートされます。ファイル > 印刷 > パートのリストにあるサブスコアを選択するだけです。サブスコアがリストの一番上にあり、便利なのがわかると思います。
モバイルでは、印刷したいサブスコアを開き、詳細メニュー「…印」 > 印刷を選択するだけです。iOSの標準的なUXが使用され、そこからPDFを書き出したり、印刷したりすることができるようになります。
ファイル形式
Sibeliusのこれらの大きな構成の変更と同様に、新しいサブスコアを保存するために内部ファイルのバージョンを引き上げました。2022.12で保存したスコアを以前のバージョンのSibeliusで再度開く必要がある場合は、ファイル > エクスポート > 旧バージョンで必要なバージョンを選択してスコアをエクスポートする必要があります。エクスポートしたスコアを旧バージョンのSibeliusで開くと、予想通り、サブスコアが取り除かれます。新しい小節線(下記参照)は、太線とトリプルはダブルに、点線は破線に変換されます。
バージョン
これらは非常に高度な機能であるため、サブスコアを作成できるのは Sibelius Ultimate のユーザーのみです。Sibelius First または Artist をお持ちのユーザーは、既にサブスコアが含まれているファイルを開くことはできますが、サブスコアを一から作成することはできません。
ManuScript のサポート
Sibelius に追加するすべての機能と同様に、ManuScript プラグイン言語でもこの機能を利用することを目指しており、プログラムからこの機能にアクセスできます。サブスコアを作成するためのコマンドIDは make_into_score_subset で、削除するためのコマンドIDは delete_current_part_or_subset です。パートの削除には、これまで通りdelete_partを使用できます。
新しい小節線
前回新しいタイプの小節線を追加して以来、随分時間が空きましたが、今回点線、太線、三重線の3つの新しい小節線が追加されました!記譜ルールのコントロールも拡張され、これらの新しい小節線やリピート小節線を完全にコントロールできるようになりました。新しい3つの小節線は、Sibelius ArtistとSibelius Ultimateで使用できますが、Sibelius Firstでは使用できません。また、記譜ルールでの新しいコントロールは、Sibelius Ultimateでのみ使用できます。そして、Sibelius Firstには、破線の小節線が新しく小節線ギャラリーに追加されました。
デスクトップでこれらの新しい小節線を追加するには、記譜 > 共通 > 小節線を選択します。モバイルでは、「+」メニュー > 小節線をタップします。
新しい3つの小節線は、以下です。
- 点線 - 破線のバリエーションで、複雑な拍子の小節の内部分割を示すのによく使われます。点線のサイズと間隔は、記譜ルールで設定できます(Sibelius Ultimateのみ)。
- 太線 - ダブルのバリエーションで、ダブルが「強力な」区間分割であるのに対して、「弱い」区間分割を示すために使われることがあります。讃美歌の本では、リフレインとバースを区別するために使われています。線の太さは、記譜ルールで調整できます(Sibelius Ultimateのみ)。
- トリプル - 従来のダブルを拡張したもので、現代ではほとんど見られませんが、学術的な分析で使われることがあります。ダブルと同様に、トリプルの線の太さと線の間隔の値は、記譜ルールで調整できます(Sibelius Ultimateのみ)。
実際の点線と太線の例
リピート小節線のコントロールを強化
記譜ルールに追加された、リピート小節線のための2つの新しいオプションは、以下です。
- 旧式のダブルリピート - これを選択すると、2つのリピートが同時に発生した場合、細い-太い-細い の3重線ではなく、2本の太い線として表示されます。
リピートの標準オプション
旧式リピートの新しい選択肢
- すべての小節線間に点があるリピート線 - リュートや初期の合唱曲でよく見られ、古い出版物でも使われていることがあります。
記譜ルールダイアログの小節線ページが再編成され、新しいタイプの小節線をデフォルトとして選択し、各タイプの幅とその他の間隔オプションを設定できるようになりました。また、リピート線の新しいオプションも設定できます。
macOS Venturaサポート
Sibeliusエンジンを常に最新の状態に保つこと努めており、最新バージョンのmacOSでもSibeliusを検証しました。Sibelius 2022.12は、macOS Venturaを搭載した最新のMacで問題なく動作します。
その他の改善点
Sibeliusのリリースは、多くの改善点を抜きにしては成り立ちませんが、今回のアップデートも同様です。
MusicXMLインポート - 先月のリリースで、モバイルアプリにMusicXMLインポートを導入しました。その際、MusicXMLのスキーマをバージョン3.1から4.0に更新しました。これにより、これらの新しいファイルをインポートすることで、より信頼性の高い、忠実なインポートを実現します。しかし、これらのファイルのインポートする方法に、他の追加的な変更は加えられていません。
安定性 - ファイル > インポートで、さまざまな演奏方法を使用したスコアを取り込んでも、Sibelius がクラッシュしなくなりました。
アクセシビリティ - Macで、スクリーンリーダーを使用しているときに、ナビゲーションコマンドが1つの単語を延々とループしてしまうというアクセシビリティのバグを修正しました。
ライセンスの改善 - 常にライセンスに関して改良を加えており、今後も同様です。このSibeliusのアップデートと同時に、Avid Linkもアップデートすることで、ライセンス管理方法が大幅に改善されます。
皆さま、ここまで読んでくださり、ありがとうございます。このリリースの新機能や改善点を楽しんでいただけると嬉しいです。それでは、幸福と平和と音楽に満ち溢れたホリデーシーズンをお過ごしください。